前売3000円までで選ぶ面白かった公演ー2012秋

この期間はフェスティバル/トーキョーとかダンストリエンナーレとかあってたくさんの公演があったのだけれど、4000円以上かかるものを観に行ってしまっていて、3000円台までの公演をあまり見ていなかった。
むしろ、旅行で飛んでいったりしてたので、そこでお金がなくなったことのほうが大きい。
ただ、響くものがそんなになかったというのもある。


山下残ヘッドホンと耳の間の距離
ブルーノ・プロデュース『くんちゃん
劇団はへっ『ヨーロッパ
岡崎藝術座『隣人ジミーの不在
KENTARO!!『雨が降ると晴れる.2
ギア-GEAR-
中野成樹『Waiting for Something』(アジア舞台芸術祭2012『国際共同クリエーション公演』)
矢内原美邦『全事経験恋歌』(アジア舞台芸術祭2012『国際共同クリエーション公演』)
toi presents 5th『あっこのはなし』
中野成樹+フランケンズ『聞いてごらんよ、雲雀の声を』(ナカフラ演劇展 冬のツアーD2)☆
集団:歩行訓練『不変の価値』
ロロ『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』


振付家山下残さんはどこから発想が出てくるのか、いつも予想の斜め上の更に上をいくので、横浜にたくさんいらっしゃっているここ数年はずっと楽しみにしている。
劇場の規模や技術的なところなのかサラウンド感や音が動いてる感覚はそこまでなかったのだけれど、音(声も)と動きとがダンスとしてどのように成立していくのかスリリングすぎる公演で、私は大好きだった。


劇団はへっの『ヨーロッパ』は桜美林てすごいなと改めて思わされた。
平台を使って周囲を上げているだけだが(回のような形)、その舞台面の左右は斜面になっており、少しヒネリが効いている。そうした歪んで閉じた世界の中で物語は展開し繰り返される。その世界で唯一の逃げ場と言える下手奥から表れる異質でズレた青年。
小道具もない中での人間の動作から見える物のかたち、表れない者・物への疑問の持ち方やそれを見ている人間(観客も含めた)の視座とか、重層的でかなり面白いものだった。
あれでもっともっと身体も酷使したら大変だと思うけれど、もっと役者の身体を苛めると別な広がりも見えたのではないかとは感じた。
あと、アフターイベントでに出てきたナル風男の海パン姿は卑怯です。笑います。

20代前半の劇団は「お布団」がずば抜けて大好きなのだけれど、今回拝見した「はへっ」もキテる。
この大発見があったので大変有意義な秋でした。


集団:歩行訓練『不変の価値』は、舞台上でならば何をやってもどうしても成り立ってしまいそうな約束事を突きつけられているようで、ズキズキきた。


アジア舞台芸術祭はお得過ぎる。無料でいいんですかと*1
矢内原さんはすごくお芝居していたのだけれど、振り的な動作とか、構成変化はやはりとても目を引き、お芝居していたからなのか、とてもシャープな印象を受けた。
プロジェクションされる映像、記憶やコミュニケーションから、観客と舞台上を結んでしまうような、そんな感じ。


中野成樹さんの作品は面白すぎた。
雲雀はちょっと本当に驚いてしまって、アゴラでの演劇展では見られなかったので、今回見られて本当によかった。



年明けからはもろもろ動くことになりそうで、その楽しみがあります。
まぁ、予算獲得に向けて審査する神のみぞしるところだけど。

*1:国際的な云々だと予算いいのかしらとか邪推