前売3000円までで選ぶ面白かった公演ー2012冬

個別にするよりまとめてしまえ。1-3月に見たものの中からチケット料金が前売3000円台までのものに絞って12本。


五反田団新年工場見学会2012
ロロ『LOVE02
地点『トカトントンと
岩渕貞太『living
木ノ下歌舞伎『三番叟/娘道成寺
サンプル『女王の器
アメウズメ『聴け、私の血の流れるを
FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル
モモンガ・コンプレックス『ご多分にもれず、ふつう。
cui?『きれいごと。なきごと。ねごと。
ミクニヤナイハラプロジェクト『前向きタイモン!
マームとジプシー『LEM-on/RE:mum-ON!!』☆


下記よりいくつか短い感想。


モモコンの公演で用いられた「舞台美術男子」というのは1つキーワードになると思う。
主宰の白神ももこさんは昨年末の木ノ下歌舞伎『夏祭浪花鑑』でも、脇役・モブ的な要素を絡めることで大きなウネリを作り出していたが*1、群舞でも脇役・モブでもなく、舞台美術として使うということに、1つ刷新するものがあるように思われた*2
言葉遊びのようなもので終わるだけでなく、アフタートークで岩渕貞太さんが言っていたような、「ハイテクな舞台美術」としてどのように扱うか、白神さん自身かそれともこれを利用するところがあるか、気になるところではある。


上で話題に出た岩渕貞太さんは横浜ダンスコレクション(通称ダンコレ)にてフランス大使館賞を受賞し、受賞自体は「やっとなのか」という印象があるくらいに精力的に作品を発表していた。
特に音楽家・批評家の大谷能生さんと組んでの連作は重要なものであると思う*3。ライブで行われる身体と音の関係に物を加えて、それぞれの反応の差を見る。そこで観客は何を聞いて何を見るのか、ダンスが生まれる瞬間まで射程に入る非常に重要な問いかけがそこにはあると思う。


1つ戻るが、木ノ下歌舞伎も注目していきたい。
演出を外から招いて、監修に木ノ下裕一さんが入るスタイル。歌舞伎におけるケレン味は私は分からないのだが、気鋭の演出家を外部から招聘することで現代的なケレン味をうまく融合している印象がある*4。また、関連企画で公演前には題材を丁寧にレクチャーする歌舞伎塾や音声ガイダンスなどを公開し、歌舞伎を知らない層へのアプローチも欠かさない。
私が見たものは歌舞伎の外の身体(役者やダンサー等で若手中心)を結びつけたものであるので、ここに歌舞伎の身体や歌舞伎でなくともよいのだが年齢の高い身体が持ち込まれたらどうなるのか見てみたい。


cui?は聞くところによると20歳前後というこれまた若い。けれど、かなり稽古されていてビジュアルも台詞も乱反射して膨張していくようで、情報量が多い。そして"カッコイイ"。初見だったので過去の作品がどうだったのかは分からないが、今作はカッチリとしていたので「どうしようもなさ」というのが出てるところも見てみたい。スタッフの記事が秀逸である。


以上、さっくり。観劇は3ヶ月合計で30公演くらいでした。

*1:序〜中盤は外し的に使われていたが、最後は群舞として使われていた。

*2:美術で言えばティノ・セーガルにも接続しうる

*3:インタビューなどあり

*4:次作『義経千本桜』は7月に行われるが期待値はかなり高い。