ちはやふる第6話「けふここのへににほひぬるかな」〜すれ違いから追いかける〜
太一の台詞にあった「好きのベクトルが違う」というのを表し、そしてその違いを包みこんでしまう豊かな百人一首の和歌の世界を表した本当に素晴らしい回。ちはやふるはとても面白い。
脚本:川嶋澄乃 絵コンテ:高橋亨 演出:細川ヒデキ
作画監督:山口真未
すれ違い
アバンが秀逸。弓道部とのすれ違いでのカメラワークは絶品。ちはやと太一を追っていたカメラを反対方向からくる弓道部に移す。
で、このすれ違いは台詞にも見られている。
アバンの序〜中盤ではこれまでのメインであるちはやと太一の2人は会話をせず、周囲の2人に関する会話しかない。そして、上述したすれ違いから軸になると思われる大江さんに関する会話に移り、大江さんのモノローグになる。
呼びかけて応答するということがないのだ。
ちはやと大江さんの初めての出会いでも大江さんの語りが多く、真正面から向き合っている2人を同じショット内に収めるよりも多くそれぞれ個々に写していたり(会話での切り返しはもちろんよくあるものだけれど)、太一を登場させたり、斜めからのショットにしたりしている。
大江さんの話に割って入ることもなく、応答にならない台詞を言ったり見開いた目をした表情を長く見せたりするることで、ちはやと太一の少し呆然とした様子や、大江さんの少し残念に思う気持ちも見て取れる。
それがかみ合い始めるのは、ちはやが大江さんの呉服店に赴き、自ら質問をするところからである。
そこからはBGMもテンポよく、次々に台詞やシーンが重なっていく。
次の2度目の部室のシーンでは、今度はちはやが姿に気づいて声をかけて窓が開く。太一も含めて3人でテンポよいやり取りが見られるようになる。
呼びかけて応答するというのはかるたの姿でもあるし、アラタへの思いでもあるし、ここから先の部員増えていってからはどこまでやるのか分からないけど、もっと面白くなりそうだな〜とか。
※その時の様子を切り取る、ということで意思を確認しながらの写真撮影もよかった。