電波女と青春男と俺たちに翼はないが面白い〜それはどこから見るの〜

今期スタートで圧倒的に面白いのが「電波女と青春男」。
藤和エリオに代表されるように原作絵の雰囲気を残したキャラクターデザインもさることながら、シリーズディレクターの宮本幸裕さんにしてはややゆったりした感じのテンポ*1。一人ひとりの台詞が長めなのだが情報量を抑えた画面*2になっていて、そこにジャンプカットが入ってくることで気持ちよいリズムが生まれる。
そして、そうやって飛んでしまうカットとカットの繋ぎが素晴らしい。ここがしっかりしているので飛んでも気にならないし、そういったしっかり芯があるから突飛な行動が多いキャラクターばかりでも安心して見られるのではと思います。


あと「俺たちに翼はない」もキてる。
でも、これの最高点はゲームの細田直人OPであることだけは譲れない。

電波女と青春男第10話(絵コンテ:平川哲生)

人物の映らないカットは空中心。
社のヘルメットに映るのも空、ヘルメットを外した社が見るのも空。望遠鏡の先にあるのは空、プールに映るのも空。自転車やペットボトルロケットが向かった先も空。宇宙のほうが正しいか。
また、フェンス等の隔てるものが人物の関係も映し出していて分かり易い。

フェンスと光(空)
  • 1.アバン:日光(空)
    • 社のヘルメットが光る→エリオは空を見上げている流れ。ここでキーが見える。
  • 2.OP後:隔てる物
    • 前川さんはいつもの着ぐるみ+日傘。日光(空)の下にはいない。背後にはフェンスがある。
    • それを見せてから、社に追われるエリオがイトコのもとに来るのだが、そこでイトコがエリオと社を隔てるフェンスの役目*3をしている。エリオがイトコにくっつくときにはフェンスから外れる。
    • リュウ「コ」さんとのやり取りはベンチや部屋等こちらも日光の当たらない場所。電話してるところのベッドと携帯の持ち手が逆だったら手を繋げたのになぁ。
  • 3.プール
    • 水に映るのは空。フェンスの中の空間。
    • 水中から見るのは空。イトコが手を伸ばした先には太陽。


分かりやすいものだし余り書く必要もないのだけれど、すごく感動した。
空は対等にみんなを見ているし、みんなも対等に見ることが出来る。色目がない。そりゃ、空=宇宙へ憧れますよ。
ペットボトルロケットを飛ばした回でハッキリと見えたことだし、回を増すごとに少しずつ外へのイメージが増えてきているので、揃って同じ場所で見ることができたら。
自転車、ペットボトルロケット、次は何で空を飛ぶのか。ホント、意識飛ばして欲しい。

俺たちに翼はない

一話アバンがすごかった。面白くするところを変えてきたのだろうことがハッキリ分かる。
原作の物語においてキモになる部分がすごくライトになってて、ついに真実が明かされた時にDJコンドルは「もう知ってるだろ?」だもん。確かにここまでからも分かるのだけれど(分かりやすくなっていたのだけれど)、これを普通に言っちゃうのは本当に予想の斜め上だった。*4
あと、鎌仲史陽さんは今回でまた好きなってしまった。

一話のアバン

少年がテレビを付け、テレビ画面は服のナメから覗くようにヒロインたちを映し、そこから別な世界が始まっていく。それに加えて、初めにヒロインたちは声はない。ここから始まる世界が誰かが見ている世界ということを確信させる。

※追記
最終回も良かった。自分のことを見つめ直すときに車内で少し傾いた俯瞰とか。

その他

もう終わっちゃうけど今期ならCしかりあの花しかり、上で挙げた電波女しかり誰にどのように見られているのかで面白いものが多かった。*5

*1:最近のだと荒川はものすごかった。私は辛かった

*2:漫符等ほぼ無し。

*3:7話ではエリオとリュウ「コ」を隔てる屏風と自ら言っている。

*4:ウシロシンジ監督作品だと、おまもりひまりは原作知らないのでスルーなのですが、ストレイト・ジャケット祝福のカンパネラからまた変わった感じがしました。

*5:恋愛のコミュニケーションなら世界一初恋